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読本感想 0ベース思考 どんな難問もシンプルに解決できる

「0ベース思考 どんな難問もシンプルに解決できる」スティーヴン・レヴィット&スティーヴン・タブナー著、ダイヤモンド社発行。この本を読んでみた。で、読んだ感想を書いてみようと思った。読むかどうか悩んでいる人の参考になれば幸い。

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目次

①この本の概要

②この本の内容展開の仕方

③いくつか興味を引いた面白い話と感想

④最後に

 

①この本の概要

要は、無知を自覚するピュアさを持ちつつ(1-2章)、目的を明確にし(3章)、物事の根幹を探し(4章)、現状のわかっていることとわかってないことを明確にした上で(5章)、関係者との関係を意識して(6章)行動しようということだ。これらに関係するいくつかの具体的な物語を7章で追加で書かれ、以上を理解してもそれを他人にやってもらうことは難しいということを書かれている(8章)。最後に、物事を見直して時にやめる選択肢が有効であることと、それらの判断が非常に難しいことが書かれている(9章)。

 

②この本の内容展開の仕方

最初、自分はこの本が読みづらく、実用書として酷いと思った。自分は読み方として、次のような読み方をする。まず「始めに」を流し読みして、話の全体を理解する。次に目次を見て、自分が読みたい章をピックアップする。その章の末尾にある結論やまとめ、その前に戻って証拠や方法論も必要に応じて読む。以上で終わり。そういう読み方をするので、200ページの本でも30分で読み終わることもある(読み終わるというよりデータを抽出し終わる)。今回の本もそのように読もうとしたが、なんとこの本には「始めに」がない。そして章の最後だけ見ても結論がよくわからない。情報が散逸していて、結論・証拠・手法がわからない。だからこの本はどうしようもなく読みづらいと感じた。読まずに図書館に返そうとも思った。ただ、流し読みした時に出てきた実例の物語が興味を引いたので、読み物を読む気分で、頭から読むことにした。情報を抽出するのではなく、様々な実例の物語を頭にインプットして、それを収穫にしようと思った。

で、読み終わった感じだが、実際話が紆余曲折?しつつ、著者が伝えたいことを様々な実例の物語を通して伝えてきた。そして最終章であえてこのような複数の物語を語ることで、「読む気がない人・興味のない人にもメッセージを伝えやすくする」という手法を使っていることを語っていた。この手法では物語を通して伝えるので、メッセージ・証拠・手法の表現の段階が見えづらいくなっていたのだ。そして小説を読むような気分というのは実際合っているのだ。という訳で話しとしては面白ったし、よく考えられていて「実用書として酷いな」というのは撤回する気分になった。確かに、たくさんの人に読んでもらおうとすると、普段小説を読むような人でも読みやすいように等の工夫が必要だろうと感じた。

 

③いくつか興味を引いた面白い話と感想

 

・顧客を首にする 対応に過剰な時間や労力を要する顧客を捨てる戦略。本書ではちらっと出てきただけが、利益=売上/コスト を考えると短期的に見れば間違いなく有効な戦略だし、変な顧客がたくさん付け上がらなければ長期的な戦略だと思う。日本は大して金払わないのに声の大きさだけはしっかりしていて、プライドは高いが思慮は浅い暇人が、勘違いした正義感を振りかざして突っ込んでくるので向かないかもしれないけど。こういう話は興味があるので頭にひっかかった。

・責任と自殺 物事をコントロールできる人ほど自殺しやすいという推測の話。この話は深堀りして、推測なのか学説になっているのか仮説なのかちゃんと調べてもいいなーと思った。裕福層の人間ほど自殺しているという事実から、「裕福層は多くの物事をコントロールできる→失敗した時の責任は自分で人のせいにできない→自己嫌悪が強くなりやすく自殺へ至りやすい」という推論だ。まぁちょっと気持ちはわかる。しかし自殺者は責任感が強い傾向があることがわかっているとはいえ、すべての自殺者がそういうわけではないと思うので、本推論は自殺を原因別に分割した際の一部にはなれど、それのみで自殺を語れるとも思わない。自殺という心現象は興味深い。どこかで考えをまとめたい。 

・子供の優れている点 本書では子供はピュアで優れているという話がある。そこで思った事だけど、自分は大人も大人で優れている点があると思う。一般的に物事を関連付けたり、法則性を予測したり推測することは大人の方が優れている(だからIQ測定では年齢で割ったりするし)。しかし無意識の法則性の予測が「色眼鏡」に化けるので、ピュアさと推測能力は表裏一体だと思う。あるべき姿は、ピュアな目でのインプットと、インプットを基にした法則性の予測、という2ステップで考えるべきなのかもしれない。実際にはその間をループするんだと思うけど。

・4つのインセンティブ 本書ではインセンティブを4つに分類している。

 ・金銭的インセンティブ→金をあげるで

 ・道徳的インセンティブ→道徳的に良いで(良心)

 ・社会的インセンティブ→社会のためになるで

 ・群集心理インセンティブ→みんなもうやってるで(社会的圧力)

で、本書では「群集心理インセンティブ」が最も影響力が大きい、という例を出している。日本人だけだと思ってたけど、案外日本以外の国の人も群集心理がある国あるんだね。例では、募金を集める話にだったが、「一回募金したらもう許してやるよ」という言葉で人をコントロールするという話だった(本例ではこの手法に加えて募金被要求側と協力関係となるような文言で、人間関係もコントロールしているが)。人の行動をコントロールする話(聞こえが悪いが)には興味があるので頭に引っ掛かった。

 

④最後に

 本書にはいろんなメッセージが実例とともに記載されている。以上に書いた話の他にも「関係者とは対立関係ではなく、協力関係になるよう演出しましょう(実際にそうするでもOK)」という話などもあったが、自分の中で知っていることは興味をあまり惹かれないのでわざわざ本ブログでは書かなかった。本書は沢山の話が展開されるので、今回私が③で書いたように、そのいくつかは読者の興味を引くと思う。様々な面白い情報をまとめて浴びるのには良い本だと思う。ふるいには自分でかければよいのだ。話の展開がうまいので、読み物としても面白い本になっていると思う。現実は小説よりも奇なり。軽い気持ちで読んでみてはいかがだろうか。